所有権の登記
1.所有権移転登記(不動産の名義変更)
(1)業務内容
数ある不動産登記の中でも、最も重要な登記といっても過言ではないのが所有権移転に関する登記です。いわゆる、「名義変更」というと、一般的には所有権の移転登記を指します。
所有権が移転する法律原因の代表的な例としては「売買」「相続」「贈与」等があります。他にも、「共有物分割」「代物弁済」「真正な登記名義の回復」「時効」「遺贈」等、一般の方に馴染みが薄いものまで、様々な原因によって所有権は移転します。もちろん、どんな法律原因に起因するものであっても、法律要件を満たす限り、当事務所でお受けいたします。
さて、司法書士はこれらの登記手続きを代行して行う専門家、という認識は間違いではないですが、実際は単に法務局に登記の申請手続きを行うだけではありません。所有権移転(名義変更)の要件を満たすための、法律上の確認作業や、当事者の確認、証拠書類としての各種契約書の作成等、その他、総合的なアドバイス等も含め、業務として行います。同じ売買による所有権移転であっても、事案によっては手続きの流れが一変することもあります。まずは入口からご相談ください。
必要に応じて、宅地建物取引士(不動産業者)、税理士、弁護士等、他の専門家もご紹介いたします。
(2)登記費用
所有権移転登記の当事務所の手数料の多くは、書類作成等も含めて5~8万円くらいです(他の登記が必要になる場合は考慮に入れない。事案によってはこの範囲に収まらない場合もあります。)。ただし、所有権移転登記に限らず、登記の申請には、別途、登録免許税という税金がかかります。所有権移転登記に関しては、不動産の固定資産評価額を基準に計算され、法律原因(売買か、贈与か、相続か、等)によって税率も変わってきます。
例えば固定資産評価額2000万円の土地と500万円の建物を売買すると、現在(令和6年)の税率ですと、40万円の登録免許税がかかります(住宅用家屋証明書を使用しない場合)。不動産の評価額によっては、実費、手数料を含めた全体の額が10万円未満の場合もあれば、100万円(本当にまれですが・・)ということだってありえます。
したがって、大まかでもご費用をお知りになりたい場合は、やはり、資料をお持ちいただき、ご相談の上、ご確認された方がよろしいかと思います。見積もり相談は無料です。
2.その他、所有権に関する登記
(1)業務内容
建物を新しく建てた場合に、最初に申請する所有権の登記である「所有権保存登記」や、契約を解除した場合、取り消した場合等の「所有権抹消登記」、他にも所有権の各種登記に「仮」がついた「仮登記」、「買戻特約登記」等があります。
(2)登記費用
事案によって異なりますので、まずはご相談ください。一般的には所有権移転登記より安価になります。
3.住所変更登記、氏名変更登記
(1)業務内容
厳密に言うと、所有権に関する登記ではありませんが、所有者の登記簿上の表示(住所や氏名)について、お引っ越しや結婚等で変更があった場合に申請する登記です。
所有権移転等の登記を申請する際に、前提として行う必要があるため、同時に申請することが多いです。今までは変更があったからといって必ずしも即申請する必要はありませんでしたが、義務化される法律が成立し、数年内に施行されることになりました。
(2)登記費用
お一人様につき、手数料は1万数千円程度です。登録免許税は不動産1物件につき、1000円です。一般的には全体の費用が1万数千円~2万円程度になります。
(根)抵当権の登記
1.(根)抵当権設定登記
(1)業務内容
(根)抵当権に関する登記は、不動産登記の中でも所有権に関する登記に次いで、ご依頼の多い登記です。
住宅ローンや、事業ローン等、金融機関では様々な融資の商品があり、皆さんもご利用されることがあるかと思います。その際、金融機関が無担保で大きな金額を融資することはほとんどなく、不動産を担保に取ることが多いのですが、その場合に設定する権利が、「(根)抵当権」と呼ばれる担保権です。皆さんも、銀行さんから借り入れをする際は、「(根)抵当権設定登記」が必要になる、と覚えておくと良いかもしれません。通常は、金融機関の担当者とも連絡を取りながら、進めていくことになります。
なお、稀に個人間の金銭の貸し借りに関する抵当権設定登記のご依頼を受けることもあります。その場合も、契約書の作成等から当事務所が一括して承ることができますので、ご相談いただければと思います。
(2)登記費用
登録免許税の金額は被担保債権額(根抵当権の場合は極度額)を基準に計算します。被担保債権額(極度額)と言うと、少し難しい法律用語になりますが、とりあえずは融資を受ける金額をイメージしていただければ良いと思います。被担保債権額は融資額と同額か、それに近い金額になることがほとんどだからです(例外もありますし、特に極度額の場合は大きく異なる場合もあります)。税率はその額の1000分の4(住宅用家屋証明書を使用しない場合)ですので、2000万円借り入れた場合、概ね8万円の登録免許税がかかることになります。当事務所の手数料は3万円~4万円程度の案件が多いですが、多額の融資を受ける場合は手数料も大きくなります。そのため、登記費用の総額は案件によって大きく変わりますので、まずはご相談いただければと思います。
2.(根)抵当権抹消登記
(1)業務内容
(根)抵当権に関する登記の中でも、個人の方から直接ご依頼が多いのが、「(根)抵当権抹消登記」です。
根抵当権と抵当権で権利の内容は異なりますが、抹消する際の手続きの流れは実務上、あまり変わらないことが通常です。一般的には、ローンの全額を支払い終えた際、お客様が(根)抵当権を抹消するための書類一式を金融機関から受け取ります。そして、その書類一式を当事務所に持ち込んでいただければ、手続きを進めることができます。
(2)登記費用
登録免許税は不動産1物件につき、1000円です。当事務所の手数料(1万2000円~1万数千円程度)、実費を含めると、総額で2万円~2万数千円くらいの案件がほとんどです。ただし、住所の変更登記を必要とする場合等、他の登記も一緒に申請する必要があると、別途費用がかかります。
その他の不動産登記
1.その他の権利の登記
不動産登記にはその他にも、様々な種類の権利の登記があります。
担保権には、先ほど紹介した抵当権、根抵当権以外にも「質権(しちけん)」や「先取特権(さきどりとっけん)」等があります。また、用益権という権利のカテゴリーもあり、「地上権」や「地役権」等が代表的です。その他、土地や建物を借りたときに設定する「賃借権」(登記することは稀ですが)等、紹介しようとすると、キリがないくらいです。
これらの登記は先に紹介した所有権や(根)抵当権に関する登記と比べると、登場する機会が決して多いとは言えませんが、当事務所でもご依頼を承りますので、まずはご相談いただければと思います。
2.当事務所がお引き受けできない登記
当事務所で承ることができない登記も存在します。それは法律上、司法書士では代理することができない登記です。
具体的には、「分筆」や「合筆」、「地目変更」、「表題登記」、「建物の滅失登記」等、表示に関する登記と呼ばれるものです。表示に関する登記とは、権利に関する登記と対をなす登記で、不動産の現況に関するに登記のことです。これらは「土地家屋調査士」という、司法書士とは別の専門家が手続きを代理することができます。
実際、一般の方には司法書士か土地家屋調査士のどちらに依頼するべき登記なのか判断がつきにくいと思います。事案によっては、どちらの関与も必要な場合もあります。迷われる前に、まずはお電話でご相談ください。信頼できる土地家屋調査士の先生をご紹介することもできます。